歴史
ANSWER
ローマ剣闘士をめぐる場面では、観客や皇帝が親指を下に向けて敗者の死を命じるイメージが広く知られています。しかし古典学の研究では、この理解をそのまま古代ローマの事実として言い切るのは難しいとされています。
古代のラテン語史料には、親指に関する表現として「pollice verso(向けられた親指)」のような語が見られますが、これは親指を上げたのか、下げたのか、あるいは突き出したのかまで明確ではありません。つまり、親指のジェスチャー自体は史料に現れても、その具体的な形と意味づけには解釈の幅があります。
現在よく知られる「親指ダウン」の印象は、19世紀の絵画や20世紀の映画によって強く定着した面があるとも指摘されています。そのため、映画でおなじみの合図をそのまま古代ローマの標準的な作法として受け取るより、史料上は不確実さが残ると理解するのが適切です。
出典: Anthony Corbeill, Nature Embodied: Gesture in Ancient Rome (Princeton University Press, 2004); Alison Futrell, The Roman Games: A Sourcebook (Blackwell, 2006)
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TALKABLE POINT
剣闘士の生死は親指を下げる合図で決まった、という印象があります でも定番の親指下げは、史料上は確定していません ラテン語の pollice verso は曖昧で、19世紀絵画が今の像を強めました